日本防衛省にたいする在日台湾同郷会の抗議声明

  前略 日頃から日本およびアジアの安全保障にご尽力され、こころより感謝を申し上げます。

  さて、この度貴省が公表されました令和2年防衛白書の中における台湾に関する記載の腑に落ちない、ぜひ訂正していただきたい箇所について申し上げなければなりません。

1 第一部第2章の第2節 「中国」に「4 台湾の軍事力など」という項目が入っています。

  このような編集は台湾軍をあたかも中国軍の一部のような印象操作としか思われません。ご存知の通り、台湾軍は中国解放軍を最大かつ唯一の敵軍と見做し、日夜訓練を受けているのが現状です。台湾軍が中国解放軍に含まれるかのような編集の仕方は厳然たる事実の無視としか言いようがありません。

2 図表Ⅰ−2−2−4「中国軍の配置と戦力」の上の図では、台湾と中国以外の国が灰色に塗られているが、台湾と中国が色で塗られています。

  このような色分けは、読者が台湾は中国の一部であると錯覚におちます。意図的な暗示であれば、許しがたい悪意であります。

  このような中国地図は中華人民共和国の「一つの中国」による空想であります。もちろん、日本外務省の国としての公式発表とも違っています。

3  58pに「中国の軍事力強化は、台湾問題への対処、具体的には台湾の独立及び外国軍隊による台湾の独立支援を抑止・阻止する能力の向上が最優先の課題として念頭に置かれ…」という記述がありました。

  この誤った分析は、台湾独立の経緯と本質について認識不足に由来したものです。文面から台湾は今の中国人民共和国からの独立を求めている、と読者を誤導しています。

  台湾の独立運動は戦後「中華民国」独裁体制の打倒に源としていた。多くの志士が血と汗を流して「中華民国」の民主化を成し遂げました。今日、台湾独立運動は、「中華民国」の国家正常化、すなわち新国名を含む新憲法の制定を目標としています。中華人民共和国と何の関連性も持ちません。

  有史以来、台湾は中国に統治されたことも中国の領土になったことも、一度としてありません。すなわち、中国領土ではない台湾には、中国からの独立という問題は存在しません。したがって、「台湾独立は台湾が中国から独立する」の記述は、誤りであることは論を待ちません。

  以上、令和2年防衛白書の台湾に関する記述は中国の「一中政策・一つの中国」の覇権的な政治宣伝の影響を受けたものではないかと強く憂慮せざるを得ません。

  そこでぜひ、このような間違った記述を速やかに訂正していただけるよう、敬意を持ってお願いいたします。

令和2年7月1月20日

在日台湾同郷会会長 王 紹英


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ホームページ担当者:   作成日 2020/07/22(最終更新日 2020/07/22)



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